○淡路広域消防事務組合集団救急事故活動要綱
令和2年3月27日訓令第221号
淡路広域消防事務組合集団救急事故活動要綱
(目的)
第1条 この要綱は、淡路広域消防事務組合救急業務規程(平成28年訓令第204号)第41条の規定に基づき、倒壊事故、危険物の流出や漏洩等の事故、交通事故、船舶事故、テロその他の災害で、局地的かつ短時間に多数の傷病者が発生した場合、通常の出場体制では対応できないもの(以下「集団救急事故」という。)を、他機関の密接な連携及び救急隊の効率的な運用により総合力をもって、迅速かつ安全に傷病者の救護、搬送を図ることを目的とする。
(用語の定義)
第2条 この要綱における用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
(1) 現場最高指揮者とは、出動隊の最高責任者をいう。
(2) トリアージ指揮者とは、先着救急隊長、または現場最高指揮者が指名した者をいう。
(3) 応急救護所の指揮者とは、現場最高指揮者が指名した後着救急隊長をいう。
(4) DMATとは、医師、看護師、業務調整員(医師、看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多数傷病者が発生した事故などの現場に迅速に駆け付け、急性期から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームをいう。
(集団救急事故の運用及び対象災害等)
第3条 この要綱の運用基準及び対象災害等は、概ね次のとおりとする。
(1) 傷病者が10名以上発生していると予想される場合
(2) その他消防長が必要と認める場合
2 対象災害等は、概ね次のとおりとする。
(1) 大規模な建物、工作物の倒壊事故によるもの
(2) 危険物の流出、漏えい等の事故によるもの
(3) 船舶事故、自動車等の大規模交通事故によるもの
(4) テロ行為によるもの
(5) その他人為的原因、または自然現象に起因して、集団的に傷病者が発生する事故によるもの
(出動計画)
第4条 救急隊の出場は、概ね3隊以上とする。なお、必要によりドクターカー、ドクターヘリ及び兵庫県消防防災(救急)ヘリコプター(以下「ドクターカー・ドクターヘリ等」という。)の要請基準に基づき各機関へ要請するものとする。
(出動体制及び他機関への応援要請等)
第5条 出動体制及び他機関への応援要請等は、次の各号に定めるところによる。
(1) 事故の通報内容、または現場先着隊長の報告等によって集団救急事故と判断される場合は、淡路広域消防事務組合警防規程(平成18年訓令第138号。以下「警防規程」という。)第20条により増隊要請を行うものとする。
(2) 現場最高指揮者は、他機関への応援要請等が必要であると判断した場合には、消防課情報指令係(以下「指令係」という。)を通じて要請を行うものとする。
(3) 指令係は、兵庫県救急医療情報システムの緊急搬送要請(エリア災害)の立ち上げを行うとともに、医療機関応需情報を現場最高指揮者、または応急救護所の指揮者と情報共有する。
(4) ドクターカー・ドクターヘリ等及びDMATは、現場最高指揮者より事故概要、負傷者数などの報告を受け、現場最高指揮者の指揮下で活動する。
(災害対策本部の設置)
第6条 消防長は、警防規程第5条により災害対策本部を設置するものとする。
(災害対策本部の編成及び任務)
第7条 災害対策本部の編成及び任務は、警防規程別表第1及び別表第2によるものとする。
(現場指揮本部の設置)
第8条 現場指揮本部の設置要領は、次の各号に定めるところによる。
(1) 現場最高指揮者の判断により設置するものとする。
(2) 現場指揮本部には、「現場指揮本部」の標記を明示するとともに、設置場所を明確にするものとする。
2 現場指揮本部の設置場所は、概ね次の基準をもとに選定し設置するものとする。
(1) 現場全体が把握でき、消防部隊の集結に容易な場所
(2) 応急救護所との連絡が容易な場所
(3) 二次災害のおそれがない場所
(4) 通信障害が少ない場所
(5) 関係機関との連絡調整が容易な場所
(現場指揮本部の編成及び任務)
第9条 現場指揮本部の編成は、現場最高指揮者及び現場最高指揮者が指名した者とする。
2 現場指揮本部の任務は、概ね次のとおりとする。
(1) 災害(事故)現場、応急救護所及び出動各隊の総括指揮を行い、状況に応じ消防車両の応援要請、関係機関への応援要請を行う。
(2) 災害(事故)状況の早期把握を行い現場活動方針の決定、医療機関の収容状況、傷病者状況等の情報を収集し、適時、指令係(災害対策本部を設置している場合は情報班)へ報告する。
(3) 報道関係者の対応を総括する。
(集団救急事故の活動の原則)
第10条 集団救急事故の活動は、他隊及び他機関との連携を密にし、状況に応じた臨機応変かつ安全な方法で迅速に行動して救命効果をあげるものとし、概ね次のとおり活動するものとする。
(1) 現場活動においては、他機関等と連絡を密接にし、傷病者の効率的な救護にあたるとともに、救急活動においては、傷病者の適切なトリアージを行い、重症者を最優先に必要な応急処置を施した後、それぞれの傷病者に適した医療機関へ迅速かつ安全に搬送することを原則とする。
(2) 現場最高指揮者は、災害(事故)現場で指揮し、ベスト等を着用して指揮者である事を明示する。なお、後着上席者と指揮権を交代するときは、必要な情報を報告し可能な限り記録として残し申し送り、必要により現場最高指揮者を補佐する。
(3) トリアージ指揮者は、一次トリアージ及び二次トリアージを行い、医療機関への搬送順位を決定する。
(4) 現場最高指揮者及びトリアージ指揮者は、原則として事案が終結するまで現場で活動を継続する。
(最先到着隊による措置)
第11条 現場先着隊長は、現場の状況を速やかに把握し、次の事項を指令係に報告するとともに、必要な措置を行うものとする。
2 状況把握及び報告の事項については、概ね次のとおりとする。
(1) 災害(事故)発生場所、事故種別、発生原因
(2) 傷病者及び要救助者の数
(3) 二次災害発生の危険性の判断
(4) 必要とする応援隊、必要資器材の要請
(5) 他機関への応援要請の有無
3 必要な処置とは、概ね次のとおりとする。
(1) 傷病者の救護、トリアージ
(2) 災害(事故)現場における警戒区域の設定及び後着救急隊の進入、退出路の確保
(3) 状況に応じた応急救護所の設定
(応急救護所による措置)
第12条 応急救護所の設置要領は、次の各号に定めるところによる。
(1) 現場最高指揮者の判断により設置するものとする。
(2) 応急救護所には、応急救護所であることが判るよう明示するものとする。
2 応急救護所の設置場所は、概ね次のとおりとする。
(1) 現場指揮本部と連絡が容易な場所
(2) 二次災害のおそれのない場所
(3) 出場隊の進入、退出路が別系統で確保が可能な場所
(4) 群衆の混乱による影響がない場所
(5) 通信障害が少ない場所
3 応急救護所は、トリアージシート等によって区域を明示し、重症度分類によって傷病者の搬送位置を指定しておき、搬送に支障が生じないようにするものとする。
4 応急救護所の編成は、応急救護所の指揮者の下、後着救急隊により編成する。必要により現場最高指揮者へ消防隊の応援を要請するものとする。任務は、応急救護所の指揮監督、現場最高指揮者との連絡、傷病者の応急処置及び救命処置を行う。トリアージ指揮者及び医師、または看護師と協力し傷病者の救命と搬送順位の決定を行うものとする。
5 資器材の搬送及び調達は、概ね次のとおりとする。
(1) 応急救護所の設置に必要な資器材は、消防本部、洲本消防署の車両で搬送する。
(2) 現場資器材の不足がある場合は、指令係から関係機関の協力を求め、必要資器材の調達を図るものとする。
6 応急救護所の指揮者は、現場最高指揮者の指揮の下、傷病者情報や搬送先医療機関情報を別表第1に取りまとめ、適時、現場指揮本部へ報告するとともに、ドクターカー・ドクターヘリ等及びDMATの出動時には、搭乗の医師、看護師等と連携し現場活動するものとする。
7 トリアージの方法は、別表第2及び別表第3に基づいて行い、トリアージタッグにより表示する。
8 トリアージタッグの処理は、別表第4に示す順序で行うものとする。
(病院搬送隊による任務)
第13条 病院搬送隊の任務は、概ね次のとおりする。
(1) 出場救急隊がこの任務にあたる。また、トリアージ指揮者及び応急救護所の指揮者の車両を用い救急隊を編成できる場合は、現場最高指揮者の判断により編成するものとする。
(2) 隊長は、災害(事故)現場において、応急救護所の指揮者の指示により活動するものとする。
(3) 傷病者の搬送にあたっては、応急救護所の指揮者との連絡を密にして行う。
(4) 隊長は、搬送開始前に傷病者に標示されているトリアージタッグに必要事項を記入し、1枚目を切り取り、応急救護所の指揮者に提出する。
(5) 傷病者を医療機関へ収容後、更に災害(事故)現場から傷病者を医療機関へ搬送する必要がある場合は、速やかに応急救護所へ引き返し、トリアージタッグの2枚目を提出するとともに、応急救護所の指揮者に医療機関収容状況等の情報について報告する。
(報告及び広報)
第14条 現場指揮本部は、出動各隊の隊長から定期的に情報を取りまとめ、適時、指令係(災害対策本部を設置している場合は情報班)へ報告するものとする。
2 集団救急事故の傷病者に関する事項は、別表第1により記録するものとする。
3 災害(事故)現場においては、二次災害について住民へ注意を促すとともに、拡声器等を活用し現場活動に支障がないよう広報するものとする。
4 報道関係者に対する広報は、災害(事故)の規模を考慮し速報、中間、まとめ等段階的に発表するものとし、混乱を招かぬよう場所を指定するとともに発表時刻を予告して行うものとする。
(訓練)
第15条 この要綱の効果的な運用を図るため、集団災害発生時の訓練を年1回実施するよう努めるものとする。
(委任)
第16条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は消防長が別に定める。
附 則
1 この要綱は、令和2年4月1日から施行する。
2 この要綱の施行に伴い、集団救急事故に係る救急業務計画(平成10年6月1日付け庁達第5号)は廃止する。
別表第1
別表第2
別表第3
別表第4